子供教育

公文(くもん)は難関中学受験を目指す小学生に必要不可欠なのか?

公文中学受験

中学受験を目指す教育熱心なお母さんの中には、子供を中学受験対策の進学塾に通わせる小学校4年生までの間に、「周りの子よりも先に先に勉強をやっておかないと!」「勉強する習慣をつけさせないと!」と考えて、公文(くもん)教室に通わせるお母さんが少なくありません。

公文というのはもちろんあれです、「くもんいくもん~♪」のCMでお馴染みのあの公文教室です。

しかしなぜ、教育熱心なお母さん達がそんなに公文に興味を抱くのか?

それは、灘や開成に合格した優秀な中学生や、東大や国立大医学部に受かったような大学生の中に、「自分は小さい頃に公文に通っていました」という子供の割合が多いという情報を、どこかしらで聞いているからだったりします。

少し前に出版をした事で教育ママ達の間で話題になっている、灘中学から東大理Ⅲになんとお子さんを3人も入れた佐藤亮子ママも、お子さん達が小学校4年生になって進学塾(兵庫県の浜学園)に入る前までは公文に通わせていたそうですしね。

ですからそういう事実まで知ってしまうと、

「やっぱり天才を育てるためには公文に入れなくちゃ!!」
「難関私立中学に入れるためには公文通いは必須だわ!!」

といった具合に単純に思いこんでしまう教育熱心なママがいても何ら不思議ではありません。

事実そのように考えてまだまだ小さい我が子を“無理やり”公文に通わせるという、子供の意志を無視した非情な親もたくさん出てきてしまうわけです。

でも、実際に中学受験を経験し、そして中学受験生を指導する私の立場からするとこの風潮はちょっと違います。まずは少し冷静になる必要がありますね。

「果たして公文で学習すると頭の良い子供に育つのか?」

「本当に公文で中学受験で勝ち抜くための学力がつくの?」

こういった疑問を持っているお父さんやお母さん方から少なからずご質問を頂きましたので、教育現場で実際に様々な子供を見てきた私が考える公文に対する見解を述べましょう。

あ、ちなみにですが・・・

公文だけで中学受験対策をしようとしても、それは無理ですからね?小学校4年生以降は、中学受験専門の進学塾通うか、中学受験指導に長けた家庭教師をつけないと、偏差値の高い私立中学への合格はほぼ不可能です。

公文は、あくまでも小学校4年生より前段階の話ですからね。

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公文で身についてしまう悪しき学習習慣

公文(くもん)教室に入って小さい頃から勉強すると頭がどんどん良くなるかと言うと、私はそうは思いません。

公文では算数を勉強している子供が圧倒的多数だと思いますが、確かに何も勉強しないよりは多少の計算力はつくかもしれませんが、公文で学んできた子供達には高確率である特徴がある事が分かりました。

私が早稲田大学在学中、学習塾で中学受験を目指す小学生相手に算数を教えていた時の話です。

計算問題の演習を6年生のクラスで行って私が教室の後ろに座って丸付けをしていたのですが、単純な計算ミスを連発する子がいたわけです。もうほとんど答えまで導けているのであとは落ち着いて答えだけを書けば良いものを、なぜか焦ってミスをしてしまうのです。

たかが計算ミスと思うかもしれませんが、算数は計算問題こそがすべての基礎になるものですし、中学受験では多くの子供が正解するような得点源の計算問題でケアレスミスをするような事があっては致命傷になりかねます。

その子は、問題を解いてくるスピードだけは誰よりも早いのですが、必ずどこかにケアレスミスが見られたのです。

問題を解くスピードが早い事は良い事なのですが、「ちゃんと見直しをしなさい」と何度言ってもなかなか悪い癖が抜けませんでした。

その子は時間内に間違いなく確実に答えを導き出すという事以上に、“1秒でも早く”答えを出す事だけに囚われてしまっていたのです・・・

後で知る事になったのですが、実はその子は公文に通っている子供だったのです。

私はこの時はこのケアレスミスを誘発する習慣と公文の関係には気づかなかったのですが、また違う学年や翌年にも計算問題の採点や、旅人算や食塩水の濃度問題等の指導をする機会があったのですが、やはり同じようにケアレスミスを何度指摘しても連発する子がいると思ったら、やはり公文出身の子だったのです・・・

公文教室では問題が解けたらどんどん次に行けるという学習システムを採用しているので、「勉強とはとにかくスピードが命だ」という思考が肌感覚で叩き込まれてしまいます。これが公文のデメリットです。

もちろん問題を解くスピードは遅いよりも早い方が良いのですが、昨今の難関中学の試験問題で求められる能力というのは、確かな基礎力や思考力を元にした柔軟な発想答えまで導き出せる学力です。

言うまでもありませんが本番の試験の制限時間はみんな一緒なわけですから、重要な事は隣の子供よりも1秒でも先に問題を解き終える事“ではない”のです。

公文で計算問題をやる事で中学受験の基礎となる計算力はつくかもしれませんが、そのぶん、余計なマインドセットまで叩き込まれてしまう可能性が高いという事ですね。

公文は難関中学や難関大学合格に必要ない!

難関中学を目指すのであれば小学校低学年のうちから上の学年の計算問題をどんどんやって計算力をつけておくのは大切ですが、それは何も公文に行かなくても家庭でできる事です。

本屋さんで計算ドリルを購入してきてそれをじっくりと自宅でやり込めば良いわけですから、何も公文に毎月高い月謝を払って計算問題をやらせに行く必要はないのです。

小学校の低学年からお勉強に通わされたのでは、子供はたまったものじゃないでしょう。

自分の過去の話で恐縮ですが、私は幼稚園の年長の頃から市販の計算ドリルを毎日自宅でやっていましたし、そのお陰で中学受験対策に本腰を入れる頃には既にかなり計算力のある方だったと思います。

算数や国語の市販のドリルで、常に何学年か先の勉強をしていました。

小学校低学年の頃に熱心に公文に通っていたお金持ちの同級生も小学校にはいましたが、自宅で計算問題集をやっていた私の方が、圧倒的に計算力があったはずですし、算数の点数でも負けませんでした。小学校のテストなんかはいつも100点が当たり前でした。

要は、何でも良いので計算問題集を買って自宅でやれば良いのです。幼児期~小学校低学年の間に算数でやるべき事は、もうそれで十分でしょう。

それくらいであれば、どんな親御さんでも教えられるはずですし、それくらいの計算を教えられないようであれば中学受験をする家庭としては失格でしょう。

国語に関しては本を読む習慣をつける事、理科や社会に関しては小学校低学年までの間は自然界の様々な事に興味を持てるようになる事が大切ですね。

公文の月謝にお金を使うくらいだったら、まだ小学校低学年のうちは好きな習い事を存分にやらせてあげたり、子供の食べたいおいしいものを食べに行ったり、科学館や動物園などに行く方がよっぽど賢明な使い道だと言えるでしょう。

中学受験で全ての基礎にもなる算数は重要ですし、小学校4年生になって塾に通う事になる前にできる事もありますから、計算問題集を買ってきて家庭学習し、答え合わせや分からない問題の解説は親がやってあげれば良いのです。

繰り返しますが、小学校低学年の計算問題も解けないようであれば中学受験生の親は失格ですからね?

公文の先生の2人に1人は指導経験ゼロ

公文に教育効果を期待するような親御さんも少なくないのですが、そもそも公文の先生というのは、公式ページでも紹介されているように、2人に1人は指導経験が無い教育のド素人です。

何年も歴史のある教室であれば先生の指導経験はあるかもしれませんが、新しい教室であればどこかの主婦のおばちゃんが先生をやっているだけですからね。

そこに何かを期待するのがおかしな話という事ですし、よそのおばちゃんに高い月謝を払うくらいならば、計算ドリルを買って自宅でやり込んだ方がよっぽど経済的ですし、子供にとってもその方が良いでしょう。

もしかすると幼い頃から公文に通うのは「子供に学習習慣をつけるためだ」という方もいるかもしれませんが、中学受験の合否を決定するのは家庭学習がちゃんとできるかどうかにかかっています。

ですから、公文に行った時に勉強ができるかどうかは大切なのではなく、家庭でちゃんと勉強に取り組めるかどうかが重要なのです。塾に行った時だけ勉強するのではダメなのと同じく、公文の時だけ勉強してもダメって事ですね。

これは、家庭でお母さんやお父さんが習慣づけてあげるしかないのです。それを公文に期待してはダメです。

外に行った時に勉強できるのは当たり前ですし、それはわざわざ小学校低学年のうちから公文に通わせなくても、小学校4年生になってサピックスや四谷大塚などの進学塾に通えば自然とできる事でしょう。

重要な事をはき違えてはいけません。

小学校低学年のうちは公文に通わせる事が重要なのではなく、子供に家庭学習の習慣をつけさせる事が重要なのです。

ちなみに・・・

公文では進度の早い子供ほど先取り学習が可能で、小学校のうちに中学生の方程式を解いていたとか、高校で習う連立3元1次方程式を使いこなせたとかそんな自慢をする人をたまに見かけますが、中学受験の時点でそんな事ができる必要は一切ありません。

むしろこういったものは邪魔な知識です。

灘や開成でさえ、中学入試で求められるのはあくまでも小学生が解ける計算問題なのですから。

ではなぜ、東大生には公文出身者が多いの?

そもそも、本当に東大生に公文式の出身者多いという事を証明した統計データがあるわけではないですし、これは保護者の口コミや何かで間違って広まってしまった嘘の情報かもしれません。

ですが、仮に本当に東大生に公文出身者の割合が多かったとしても、ここには「公文に入れば頭が良くなる」という方程式は成り立たないと思っています。

別に私が公文さんが嫌いだとか、恨みがあるとか、そういう事でも何でもありませんよ!?

では、一緒によく考えてみて下さい・・・

単純に、子供が小さい頃の勉強系の習い事なんて、公文か学研くらいしかなかったですから、必然的に東大生の中に公文出身者が多くなっているだけだと私は思っています。

要するに、「東大生には幼い頃に水泳教室で水泳を習っていた子供が多いから、水泳教室に行くと頭が良くなる」と言っているのと同じ理屈で、仮に「公文=頭が良くなる」という方程式が成り立つのであれば、「水泳教室=頭が良くなる」という方程式も同じ理屈で成り立ってしまうという事ですからね(笑)

そんな事はありませんよね?

つまり、単純に東大生の中に幼い頃に公文に通っていた子供の絶対数が多いというだけで、東大に入るくらいですから教育熱心な家庭が多いでしょうから、小さい頃に習い事の1つや2つはしていたのでしょう。

今の時代であれば習い事と一口に言っても非常に多岐に渡っていますし、英語、プログラミング、科学教室、ロジカルシンキング、ディベート教室など、勉強に関するものだけでも様々な種類があります。

それが私達の小さい頃は、勉強に関する習い事と言えば公文そろばん教室くらいしかなかったのですから(笑)

そりゃあ、東大生の中で公文教室出身者の割合が多くなるのはある意味当然ですね。

あとこれは余談ですが、小学校低学年の頃に公文に通っていたという同級生がいますが、こう言っては失礼ですが彼は決して頭が良いわけではありませんでした(笑)逆に、中学、高校時代を通して同級生の間では“あいつは算数が苦手なヤツ”というレッテルを貼られていたくらいです。

結局大学もたいしたところに合格できず、時を経た今は普通のサラリーマンになっているわけです。

公文で学んで東大に入った秀才がいる一方で、公文で学んだにも関わらず平凡な人生を歩んでいる人も山のようにいるんですよ。

公文に対する見解まとめ

という事で、難関私立中高一貫校や、東大・京大、国公立医学部に入るために、幼児期からの公文通いは不要だという事です。

もちろん公文に通ったって良いですが、それならば今の時代はもっとたくさん子供の将来のためになる習い事はあるはずです。それならこれからの時代は、例えばプログラミング教室とかに通わせた方がよっぽど良いでしょう。

プログラミングを早期から学ぶことのメリットに関しては別途ページを作って紹介しています。

>>子供をプログラミング教室へ通わせる3つの大きなメリット

家庭学習の習慣をつけさせたいとかだったら、どうせお金を払うなら、下記のような中学受験指導のプロの家庭教師にお願いした方が、子供の将来にとっては賢いお金の使い方になると言えます。早め早めの先取り学習で、周りの子に差をつけるという意味でも活用できますね。



子供を難関中学に入れたいお母さんも、子供を天才児にしたいお母さんも、物事の上っ面だけを捉えて子供を無意味に公文に送り込むのだけは辞めましょう。

>>中学受験に関してもっと知る

 

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中学受験指導部
中学受験を目指す全ての家庭に春が来る事を祈ってます! 志望校の合格を勝ち取った後は、中学受験のその先に待っている楽しい人生を楽しみましょうね!